2014年5月26日

むしろ僕が家内に生かされている 川口 豊さん -- 介護保険のもとで〈その5〉

「あかね」2014.5.20 第62号 (PDF)

シリーズ再開の始まりは、奥様の自宅での介護、十七年の川口豊さんです。お宅で話をお聞きしました。

川口隆子さん、現在は寝たきりです。六年前に胃瘻(いろう:おなかに開けた小さな穴から胃へ栄養を注入すること)を始めています。一階のベッドは身障者としての補助を受けて半額で購入しました。ベッドの周りには、胃瘻のための器具の他、酸素ボンベ、たん吸引器などがあります。

そして、隆子さんの枕の横には安楽椅子が。豊さんがそこで寝るようになってから、隆子さんは眠剤を使われていないそうです。豊さんが近くにいると安心できるのだろうとのことでした。

利用しているサービスは、

  • ヘルパーさん:毎日午前と午後に1時間ずつ(土曜は隔週)
  • 医師の診察:月2回
  • 訪問看護:週1回
  • 入浴:週1回(本郷高齢者在宅サービスセンター)

ヘルパーさんが休みの日もあるため、排便の処理などは豊さんもできます。

介護を通して気を使っていることは、まず、隆子さんの体調です。夏は脱水症状を起こさないように、冬は風邪ひかないように、水分の補給や室温に気を使っています。

年金支給が削減される中で、費用の心配もあります。この冬は電気代がかかりました。

そして、豊さん自身の身体も守らなければなりません。毎朝6時に起きて、6時半にラコール(胃瘻のための栄養剤)をセットした後は、ベッドの横でラジオ体操です。

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「一日でいいのだけど、私が長く生きなければならない。家内に生かされている」


「いちばんいい場所に」周りには、目を楽しませるものがたくさん並んでいます。

玄関の昇降機。人を乗せて床の高さまで持ち上げることができます。50万円かかったそうです。玄関の外のスロープと併せて段差を解消しています。

豊さんが集めた介護についての資料。他にも新聞記事の切り抜きが多数あります。
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お二人は、樺太で生まれ、二年間の文通の末、結婚しました。隆子さんは後に、日本舞踊の師匠をしていました。豊さんは日本共産党文京区会議員を八期続けました。