2014年5月30日

文京区が国家戦略特別区域に指定される

まんだち幹夫通信 2014年5月30日号 No.345 (PDF)

「大胆な規制改革を実行する突破口」としての特区
「ドリルで壊される」のは暮らしと、地方自治!?


「向こう2年間、いかなる既得権益も私のドリルから無傷ではいられない」―これは今年1月、安倍首相が世界経済フォーラムで述べた「第3の矢」=規制緩和、成長戦略=への発言です。

26日の総務区民委員会で企画課から「国家戦略特区について」との委員会報告があり、5月1日の政令で文京区を含めた「東京圏」(都心9区、神奈川県、成田市)が特区に指定されたことが明らかにされました。昨年末国会で成立した法には「産業の国際競争力の強化、国際的な経済活動の拠点の形成」することが重要として、「東京圏」はオリンピックも視野に入れ「世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備…国際競争力のある新事業を創出する」目標を立てています。

そのなかで文京区は、東大をはじめ大学、大学病院が多数あることから「医療、創薬」の分野などで「どのような規制緩和措置等が実施可能か、検討する」そうです。

これまでも「構造改革」が吹き荒れ規制緩和はこれでもかと言うほど行われています。「岩盤規制の撤廃」と今度は安倍内閣の担当大臣が直接乗り込んで「区域会議」(左上図)を仕切り、上からの権限で特区を押し付けるのです。

国民の安全や権利などを保障する仕組みを、大企業のもうけにとって“邪魔”と決めつけ次々撤廃する―それが政府の狙いではないか、次の議会でも取り上げてその実態を明らかにしていきます。

2014年5月26日

むしろ僕が家内に生かされている 川口 豊さん -- 介護保険のもとで〈その5〉

「あかね」2014.5.20 第62号 (PDF)

シリーズ再開の始まりは、奥様の自宅での介護、十七年の川口豊さんです。お宅で話をお聞きしました。

川口隆子さん、現在は寝たきりです。六年前に胃瘻(いろう:おなかに開けた小さな穴から胃へ栄養を注入すること)を始めています。一階のベッドは身障者としての補助を受けて半額で購入しました。ベッドの周りには、胃瘻のための器具の他、酸素ボンベ、たん吸引器などがあります。

そして、隆子さんの枕の横には安楽椅子が。豊さんがそこで寝るようになってから、隆子さんは眠剤を使われていないそうです。豊さんが近くにいると安心できるのだろうとのことでした。

利用しているサービスは、

  • ヘルパーさん:毎日午前と午後に1時間ずつ(土曜は隔週)
  • 医師の診察:月2回
  • 訪問看護:週1回
  • 入浴:週1回(本郷高齢者在宅サービスセンター)

ヘルパーさんが休みの日もあるため、排便の処理などは豊さんもできます。

介護を通して気を使っていることは、まず、隆子さんの体調です。夏は脱水症状を起こさないように、冬は風邪ひかないように、水分の補給や室温に気を使っています。

年金支給が削減される中で、費用の心配もあります。この冬は電気代がかかりました。

そして、豊さん自身の身体も守らなければなりません。毎朝6時に起きて、6時半にラコール(胃瘻のための栄養剤)をセットした後は、ベッドの横でラジオ体操です。

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「一日でいいのだけど、私が長く生きなければならない。家内に生かされている」


「いちばんいい場所に」周りには、目を楽しませるものがたくさん並んでいます。

玄関の昇降機。人を乗せて床の高さまで持ち上げることができます。50万円かかったそうです。玄関の外のスロープと併せて段差を解消しています。

豊さんが集めた介護についての資料。他にも新聞記事の切り抜きが多数あります。
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お二人は、樺太で生まれ、二年間の文通の末、結婚しました。隆子さんは後に、日本舞踊の師匠をしていました。豊さんは日本共産党文京区会議員を八期続けました。

2014年5月23日

改築、「快適化計画」が始まる区立小・中学校を視察

まんだち幹夫通信 2014年5月23日号 No.344 (PDF)

クーラーのない教室、洋式トイレが少なすぎ、暗い教室・廊下…
子どもたちと学校、保護者の声を聞き取り、環境整備を!   


8、9日と14、16日の4日間、区立小中学校の視察をおこないました。6名の区議団が2組に分かれて、小学校18、中学校7校に伺いました。

区は今年度、「老朽校舎の改築」(まず誠之小・明化小、その後千駄木小・小日向台町小を予定)、「学校施設の快適性向上」(築30年以上の学校の改修)を事業化しました。私たちはかねてから教育環境の整備、学校間格差の解消を取り上げてきましたが、要望をまとめるため今一度、学校施設を確認しました。

古くなった学校を、各校とも丁寧に手入れをしながら使っています。特別教室へのクーラー設置はどこでも大歓迎されています。「少人数」による学習のための教室にクーラーがなく、会議室や図書室を利用しているのが実状。「授業参観日は保護者は教室内が暑くて廊下で観ています」という学校も。洋式トイレの設置は「順次」進めていますが一か所でなくもっと増やしてほしいという声。理科室、図工室などはほんとうに古く、「昭和の教室」と言われているそうです―納得。多くの学校で児童数の増により「普通教室が足りなくなる」「職員室に机がおさまらない」などの事態もおきています。

この声を受け止め、まさに一気に環境整備をすることが急務だと感じました。近く区にも申し入れる予定です。

2014年5月16日

予算委員会審議をふまえて区長に緊急申し入れ

まんだち幹夫通信 2014年5月16日号 No.343 (PDF)

安倍内閣の暴走政治から区民を守れ、いまこそ区民要望実現させる区政に!子育て・福祉・雇用……


区議団と小竹ひろ子都議は12日、文京区長、教育長に対し予算議会の審議をふまえて「緊急申し入れ」を行いました。

  • 安倍政権の消費税増税、集団的自衛権の行使容認や、医療・介護総合法案などの暴走に区として反対を
  • 認可保育園の増設、学校施設改修を前倒しで行う
  • 防災・がけ地対策の拡充
  • 国保料の連続値上げをやめる、高齢者見守り対策
  • 区行革による業務委託や指定管理の見直し

など要望しました。

対応した副区長は、今年2月の時点で認可保育園の応募に0~3歳児の502人が不承諾になったことに対し、待機児童解消は区も最優先の課題と考えていると回答。また、指定管理者に任された区の事業が体育施設や図書館、区営住宅まで55にも広がるなか、区としてスタッフの労働環境の調査を求めたのに対し「検討中」との対応でした。

わたしたちが長年要望している、学校トイレの洋式化や全教室へのクーラー設置などを一気に実施する要望に教育長は、施設改修は夏休み期間中に限らず保護者の理解を得て工事を実施する可能性も初めて示し、また区立小中学校図書館司書の配置については全校への派遣をめざしたいと対応しました。

区議団は、昨年度末の時点で620億円に膨れ上がった区の基金を今こそ有効に活用し、安倍政権下でますます深刻になる区民の生活を守るため、申し入れたくらし、教育や福祉など喫緊の課題に予算を充てることを求めました。

2014年5月12日

新向丘地域活動センターに図書取次コーナー設置へ

まんだち幹夫通信 2014年5月9日号 No.342 (PDF)

「白山1丁目、西片地域に図書館がほしい」―― 多くのみなさんからこんな声を聞いていました。このたび、来年度から移設される向丘地域活動センター(第六中学校併設)に、予約資料の受け取りを行う「取次拠点」が設置されるはこびです。
「取次拠点」は、

  • 既存の図書館利用者の利便性の向上
  • 近隣の新規の図書館利用者の開拓
  • 子どもや高齢者等図書館利用者の拡大の効果

が見込まれます。

さらに白山下、指ヶ谷・小石川地域にも同様の施設を求める声がおきています。

2014年5月8日

国会で派遣労働法改悪案が審議に

まんだち幹夫通信 2014年5月9日号 No.342 (PDF)

「生涯ハケン」「残業代ゼロ」ねらう安倍政権。非正規雇用の生涯賃金は、正規雇用より1億円以上低い!  


非正規雇用で働き続けた場合の生涯賃金は、正規雇用より一億円以上も少ない――。安倍政権は、「常用雇用の代替禁止」などの大原則をなくす労働者派遣法改悪案を今国会に提出しています。非正規雇用を際限なく増やす改悪が、賃金水準をさらに押し下げ、貧困を拡大することは、この試算結果からも明らかです。(図)

厚労省の資料をもとにした「赤旗」の試算では、フルタイムにあたる「一般労働者」について、年齢ごとの平均年収を、正規雇用と非正規雇用で比較し、生涯賃金を集計しました。賃金格差の特徴は「若いときはそれほど大きくないが、年齢を重ねるにつれ格差が広がる」ことです。

50~54歳の年収は、正規631万4千円に対し、非正規267万9千円と、半分以下にすぎません。このデータをもとに20~64歳で得られる賃金を計算すると、正規で2億2432万円、非正規では1億2104万円となり、その差は実に1億328万円となります。

現実には、60歳で定年となる正規労働者が非正規で再雇用されています。したがって、実際に非正規で働き続けた場合の生涯賃金は更に低くなると考えられ、しかも現役時代の賃金は年金額にも反映されるため、格差は一生拡大し続けます。

派遣労働法改悪案を廃案にすることは、国民的な課題です。

2014年5月2日

自治体の仕事を民間に丸投げ、市場化が進む

まんだち幹夫通信 2014年5月2日号 No.341 (PDF)

「民営化」「市場化」により業務の担い手の非正規化、「官製ワーキングプア」が広がる


区の事業の管理運営を民間企業に委託する「指定管理者制度」の施設が、この4月から55か所になりました。児童館、交流館、体育施設や図書館に拡大し、今年度から区営住宅まで広がっています。学校給食は全小中学校が業務委託になり、4月からはシビック2階の戸籍住民課の証明書発行業務まで人材派遣業者に委託されました。

先日参加した研修会で、小泉構造改革を境に急展開してきた「自治体民間化」の現状と課題を学習しました。国が法整備して道筋をつけドンドンすすめた「民間化」で、
  • 経済界の商機拡大―公の施設を利用してもうけをあげる
  • 担い手が非正規に置き換えられる 
  • 公共サービスの質の低下
が大きな問題となっています。

文京区総合体育館はこれまでの東京ドームグループにスポーツ品メ―カーの大手ミズノがジョイントして受託し、区営住宅は東急関連会社が参入。そのもとで働くスタッフの労働条件は「企業努力」と言って明らかにされていません。

「地域の課題は地域で解決」?


また、NPOやボランティアの力を借りて「地域課題の解決」―これが新しい自治のあり方だという考えで担い手づくりが進んでいます。ボランティアなどへの支援は強めるべきですが、区の大事な仕事をNPOなどに押し付けてはなりません。公の仕事は、責任のある質の高い、そして良好な雇用のもとで運営されるべきでです。