2022年4月24日

「貧乏」のからくり軽快に 劇団こまつ座「貧乏物語」(井上ひさし)

あかね 2022年4月24日号 第129号 (PDF)

舞台は昭和9(1934)年。マルクス経済学者で、治安維持法により獄中に収監されていた河上肇。その留守をまもる女性たちの物語。

登場人物は女性ばかりで、妻ひで、娘ヨシ、女中の初江の暮らしに、元女中の美代、内務省官僚の夫のもとから家出してきた早苗、検閲による公演中止で、舞台に出られない新劇女優クニが転がり込む。

全編、河上著「貧乏物語」の思想がわかりやすくちりばめられ、「貧乏人をなくすには、根本から経済の体制を変えなければ」など、今に通じるものがある。舞台中央にかかる河上博士の肖像写真が今の日本を見つめている気がした。(A子)