2022年2月24日

文京区ゆかりの女性たち(その2)樋口一葉

あかね 2022年2月25日号 第127号 (PDF)

「大つもごり」「たけくらべ」「にごりえ」…

職業作家の先駆け、樋口一葉(本名、奈津。自身は夏子と名乗った)は、千代田区内幸町で生まれたが、明治9年(1876年)、一家で、本郷6丁目5(今の本郷5-26)に転居した。一葉の生涯でも恵まれた時代で、一時、本郷小学校に通った。幼少期は、同年代の子どもの遊びに興味がなく、読書を好んだと日記にある。

同14(1881)年、下谷の私立青梅学校に転校し、2年後、首席で卒業。和歌をはじめ向学心が強く、15歳のとき、中島歌子の歌塾「萩の舎(はぎのや 春日1-9)に入門。ちなみに、師中島歌子の歌碑は、春日1丁目の牛神社内にある。

その後、長兄や父が死去し、経済的に苦境におちいり、1890(明治23)年9月、本郷菊坂町70(本郷4-3)に転居。菊坂の伊勢屋質店とのかかわりは亡くなるまで続いた。

明治27(1894)年、本郷区丸山福山町(西片1丁目)に転居してから「大つごもり」「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」など次々発表し、女流作家としての名声は高まるが、24歳6カ月で結核のため没。自宅跡には、一葉終焉の地の石碑が。

(参考 「文京ゆかりの婦人展」)

旧伊勢谷質店

一葉の旧家跡の井戸